ある朝、僕は列車でケルンの町につくと、早速カメラを片手に町に出た。
たしかその日は晴れだった。
バックパックをホテルに預けてきたのでとても身軽になり、なんともここちの良い散歩のひとときだった。
やがて石畳のみちを歩いていくと、小さな交差路に出た。
「ねぇ、君。日本人?」
たぶん僕より年上だったと思う。20代後半だろうか。普通に評価すれば大多数が美人と呼ぶであろうポニーテールのお姉さんが声をかけてきた。
「ついてきて!」
といわれ、一瞬戸惑った。切れ味の良さが少しだけ苦手だったのかもしれない。
あまり気が向かなかったのだが、特に行くあても無かったので、とりあえず後をついていくことにした。
(つづく)
ほんとにあった、ちょっとしたおはなし。